農地等についての納税猶予の特例

「農地等の相続税の納税猶予の特例」は、相続人(農業相続人)が相続した農地等で農業を続けること等を条件に農地等にかかる相続税の納税が猶予される制度です。

しかし、納税猶予期限前に農業経営の廃止、農地等の譲渡・転用等があった場合には、納税猶予が打ち切られ、猶予された相続税の一部又は全部と利子税の納付を求められます。

この制度の適用を受けると、農地の価格を価格(農業投資価格といいます)で評価します。

1反(1000平方メートル、10アール)あたり
愛知県は85万円、岐阜県は72万円 
例えば、通常1反500万円の田を85万円で評価して相続税の計算をするという特例です。差額分の納税が「猶予」される制度です。
1反(1000平方メートル、10アール)あたり
愛知県は64万円、岐阜県は52万円  

 

納税猶予された税額が免除される場合

□ 適用を受けた農業相続人が死亡した場合(終身営農)
□ 適用を受けた農業相続人が適用を受ける農地等の全部を農業の後継者に生前一括贈与した場合
□ 適用を受けた市街化区域内の農地等(生産緑地でないもの)について、相続税の申告書の提出期限から農業を20年間継続した場合。
□ 生産緑地は、適用を受けた農業相続人が死亡した場合(終身営農)

 

納税猶予税額を納付しなければならない場合

□ 特例農地等について、譲渡等(譲渡、贈与、転用等)があった場合
□ 農業経営を廃止した場合
□ 継続届出書の提出がなかった場合
□ その他
納税猶予額の一部を納付しなければならない場合
特例農地等の全体の面積の20%以下について、任意に譲渡等(譲渡、贈与、転用等)があった場合には、その譲渡等をした農地等に見合う猶予税額と利子税を納付しなければなりません。任意の譲渡等には収用等による譲渡も含まれます。
納税猶予額の全部を納付しなければならない場合
特例農地等の全体の面積の20%を超えて、任意に譲渡等(譲渡、贈与、転用等)があった場合には、猶予税額の全部と利子税を納付しなければなりません。
収用等によりやむを得ず譲渡等した場合は、20%の判定の対象となりません(この場合は利子税を2分の1とする特例措置があります)。

 

「農地等についての納税猶予の特例」の概要

農地等

市街化調整区域にある農地は、適用することができます。

市街化区域にある農地は、一部、適用できる場合もあります。

  三大都市圏の特定市 それ以外の地域
市街化区域内の農地

□生産緑地は適用
□それ以外は適用できない 

□適用できる
市街化区域内の農地 □適用できる

三大都市圏の特定市になる地域

愛知県 名古屋市、岡崎市、一宮市(旧尾西市)、瀬戸市、半田市、春日井市、
津島市、碧南市、刈谷市、豊田市、安城市、西尾市、犬山市、常滑市、
江南市、小牧市、稲沢市、東海市、尾張旭市、知立市、高浜市、大府市、
知多市、岩倉市、豊明市
(平成3年1月1日現在、特定市でなかった、日進市、愛西市、清須市、
北名古屋市、弥富市 は生産緑地の制度はありません。)
岐阜県 該当する市はありません。
三重県 四日市市、桑名市

納税猶予の適用を受けることができる「農地」とは、土地に労資を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいいます。

該当するもの 該当しないもの
  • 現在は耕作していないが、いつでも耕作できる土地
  • 植木の苗木や、盆栽の苗木の肥培管理を行っている土地
  • 土地をコンクリート等で固めたりせず、従前の土のまま肥培管理をしている温室の土地
  • 特定貸付に該当する土地
  • 他人に耕作してもらっている土地□農協などに経営委託している土地
  • 家庭菜園
  • 農作業場の土地□温室の敷地(左に該当するものを除く)
  • 畜舎、農業倉庫の土地

 

被相続人

次に該当する人。

□ 死亡の日まで農業を営んでいた方。農業委員会の証明が必要です。
□ 老齢、病弱等により、住居及び生計を一にする親族が代わりに農業を行っている場合には特例が受けられます。
□ 特定貸付け(一定の法律に基づき賃借権等の設定による貸付け)を行っていた人。

 

農業相続人

亡くなった方の相続人で次に該当する人。

□ 相続税の申告期限までに農業経営を開始し、引き続き農業経営を継続する人。農業委員会の証明が必要です。
□ 会社勤めであっても、農業経営ができるのであれば、農業委員会の証明により農業相続人になれます。
□ 相続税の申告期限までに特定貸付けを行った人。

遺産分割

 □ 適用を受ける農地等について、相続税の申告期限までに遺産分割されていることが必要です。

申告手続き

相続税の期限内の申告書に特例を受ける農地等の明細、納税猶予分の相続税の計算の明細等を記載します。

また、次の書類を添付して提出します。

□ 担保の明細、担保提供に関する書類
□ 被相続人及び農業相続人が要件に該当することを証する農業委員会の書類
□ 特例農地等についての遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し。
□ 特例農地の明細、農業投資価格等を記載した書類
□ その他

担保の提供

 いずれかの方法で担保を提供します。

□ 納税猶予分の相続税額及び利子税の額に相当する担保を提供する。
□ 特例農地等の全部を担保に提供する。(こちらの方法が簡単です)

納税猶予中の手続き

 □ 相続税の申告期限から3年目ごとに「継続届出書」を提出しなければなりません。

 

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